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2008年05月21日

知っているのに行動できない

先日の六本木ヒルズでの講演は、情報活用と人材育成の関係性について話をさせていただきました。



企業では情報共有、分析、編集、発信などを通じて社員の組織活動の成果を最大化しようとしています。
社内で情報を流通させて、その情報をもとに社員の動きに付加価値をつけようというのが目的です。

その中で、今回の講演では、上司と部下の関係性に注目して現場OJTのあり方と世代間ギャップを埋めるイメージ化についても話しをしました。



私たちのまわりで流通する情報量は10年前と比較して421倍にも増大しています。
その情報量をすべて処理するのは不可能ですが、情報を選別して自分の知識を補完したり、いくつかの情報を編集して新しい情報を創り出すことは容易になりました。
この情報編集力を持っている人と情報編集力が無い人が生み出す付加価値量の違いが顕著になってきました。



企業内で情報を共有するために電子メールやグループウェアの導入を推進しています。
この場合には流通させる情報(コンテンツ)の精度によって社員の動きは大きくかわってきます。
当然、社内外の情報を蓄積して分析して社員に渡すということが重要になってきます。
そのためにERPやCRM・SFAなどのシステムを導入して社内外の情報を蓄積する仕組みを考えます。



そもそも、高度に分析された情報を共有する目的は何なのかということを考えた場合に、私は「人の行動をうながす」ために情報は共有するという話をしています。社員の動きなどを見ると、知識はあるのに行動しないというパターンが見受けられることがあります。それなのに行動できない自分を改善するために更に知識を入れていきます。仕事というのが勉強することになっている社員の誕生です。



知識と行動の間には深い溝があると言われています。
では、私たちは人材育成のプロフェッショナルとして何を考えるかというと、その溝を埋めるためにイメージ化を図ります。自分が経験したことない仕事やケースに対して取り組むためには、自分がその仕事をやって成功しているイメージが必要になってきます。
だから、経験豊富な上司が部下をサポートしますし、サポートの中でイメージ化された情報を使って理解を促進させるということになるのではないかと思います。これが企業の情報化の一番の狙いになります。経験豊富な上司がタイムリーな情報、イメージしやすい情報を使って経験を語るというのをOJTと私たちは呼んでいます。



例えば、当社では学生NPOの活動支援を行っていますが、仕事の経験が無い学生でも、その経験を補完するという意味で当社の社員が関わって、イメージを持たせるためにプロジェクトマネジメントの考え方を入れて作業詳細分解(WBS)を行ってやれば仕事のイメージ化がすすみ、プロジェクトを任せても社会人とおなじくらいの成果を出すこともできます。
学生と社会人の違いというのは、仕事を経験しているか、仕事をやり遂げたという成功体験があるかくらいの差です。
実際に高校を卒業して働いている人は大学4年生の年齢になると社会人4年目なので立派に社会で仕事をして、成果を出しています。だから特に学生だから仕事ができない、成果を出せないということはないと考えています。
要は、仕事を渡す側の問題で、仕事経験の無い学生に仕事のイメージをつけることができないので、学生が仕事できないということになります。
しかし、これは一般の企業ではよく見られる光景です。
だから、この部分を情報化、イメージ化で補完できないかということを考えています。



情報システムの構成などを書くとアナログ思考の方などには難しく感じてしまいますが、情報システムは人間の動きを補完するもので、特に経験豊富な人材の知識を伝承することに使われます。人間の経験を文字などで伝えるのは難しいですし、言葉で伝えてもなかなか根付きません。また、伝達される側の思考で経験を語ってもらわないと自分の動きとしてのイメージになりません。タイムリーでイメージ化された情報が無い中で経験だけを語ると、それは「昔の武勇伝」になってしまいます。
若手社員を育成するには経験が必須になるのですが、それをうまく引き出す、伝える仕組みが必要ということで、常に時代の流れを意識して自己変革している組織では、タイムリーでイメージ化された情報をお互いに見ながら経験の伝達を行っています。



知識を習得することばかりにやっきになっている社員、会社に入社しても自分の成長ばかりに目がいっている社員、動かない社員を動かすためには、やはり経験のある人によって背中を押してやる必要があります。

今回の講演が、人を育てるという課題を背負っている管理職、経営者の人たちにどのように映ったか非常に興味があります。  


Posted by 森戸裕一 at 06:54Comments(1)人材育成