2008年06月09日

勝手に決めるな

若い世代の人間を話をしていると大なり小なり「自分はこういう人間なんです」という決め込みがあり、それを理由にして努力をしなかったり、他人の価値観を受け入れなかったりする場合があります。

学生の活動支援や企業の内定者研修、新人研修などのコーディネイトや講師を担当したりすることがありますが、知識や価値観を伝える中で既に価値観なり自分観なりができあがっているような若者が増えました。

これも市場に流通する情報が増えた結果かもしれませんが、思考の柔軟性が無くなってしまうと社会の価値観の変化に対応できなくなってしまう可能性が高くなってしまいます。

従来から、過去の成功体験にしがみついて自己変革ができない人や、中小企業などの事例は取り上げていましたが、最近では自分で成功体験を作る前に、他人の成功体験などを知るだけで自分の価値観をそこにもってしまう若者が増えてしまったということになります。

昨日は東京の秋葉原で非常に悲惨な事件が起きました。
犯人は25歳の若者ということですが、中学時代までは成績も優秀だったようです。ただ、独特の世界観を持っていたということも報道されています。

モノが溢れた時代に育ってきているので物欲なども少なく、バブルの崩壊や就職氷河期なども見ているので、がんばっても仕方ないと感じているのも仕方ないのかもしれません。ただ、その反面、以前であればビジネスの世界でガンガン頑張っていたような非常に優秀な人材が環境問題などに興味を持ち、社会貢献などの意識も強くなり社会起業家として活動をしていくということも珍しくないような状況になっています。

この社会の変化は、戦後日本が目指した消費大国アメリカで数年前から起きている変化に似ているように感じます。

ソーシャル・アントレプレナー的な生き方が以前よりアメリカでも注目されています。

勝手に決めるな

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった (ハードカバー)
ジョン ウッド (著), 矢羽野薫 (翻訳)
ハードカバー: 288ページ
出版社: ランダムハウス講談社 (2007/9/21)
ISBN-10: 4270002484
ISBN-13: 978-4270002483
発売日: 2007/9/21


昨日も書きましたが、先日の久米宏のTV番組「新ニッポン人」の中でも、

〇新ニッポン人の特徴
物欲が少なく、倹約家なので高い所得も望まない、消費額が少ないので少ない所得でも将来のために貯蓄はする。特に、車や酒、旅行などにお金を使うということはあまりない。お酒もビールなどは苦いから嫌いで、サワーなどを好み、「とりあえずビール」などの最初の乾杯を意識した周囲に合わせたお酒の注文なども好まない。海外旅行離れなども報道されていますが10年前と比較して若者の海外離れは4割減までになっている。休日は自分の家で過ごすことが多く、1マイル(1.6キロ)圏内で過ごすことが多い。日本では25歳前後の世代が育った時代は日本経済が崩壊し、先輩の就職の氷河期などを見てきているので、40歳前後のバブル世代(私はここです)とは対照的に潜在的に危機意識があり、あまりお金を使わないという習慣がついているのではないか。

ということが言われています。

25歳と言えば、

勝手に決めるな

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ) (講談社BIZ) (単行本)
山口 絵理子 (著)
単行本: 263ページ
出版社: 講談社 (2007/9/22)
言語 日本語
ISBN-10: 4062820641
ISBN-13: 978-4062820646
発売日: 2007/9/22


→著者(山口絵理子)について
1981年埼玉県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程修了。小学校時代イジメにあい、その反動で中学で非行に走る。その後、強くなりたいと高校の「男子柔道部」に自ら飛び込み、女子柔道で日本のトップクラスに。偏差値40から受験勉強3ヵ月で慶應大学に合格。大学のインターン時代、ワシントン国際機関で途上国援助の矛盾を感じ、アジア最貧国「バングラデシュ」に渡り日本人初の大学院生になる。必要なのは施しではなく先進国との対等な経済活動という理念で23歳で起業を決意。ジュート(麻)を使った高品質バッグを現地で生産し輸入販売する「株式会社マザーハウス」を設立。あらゆる苦難を乗り越えビジネスを軌道に乗せた彼女の生き方やビジネス理念は、多くの学生から若い社会人に感動を与えており、社長業の傍ら講演で飛びまわる。「フジサンケイ女性起業家支援プロジェクト2006」最優秀賞受賞。雑誌「ダカーポ」2007年1月号「次にブレークする人No.1」で紹介。

情熱大陸にも出ていましたが、山口さんの生き方は、本当に「新ニッポン人」的な生き方のポジティブな部分になるのではないかと思います。

誰しもが成功するわけではありませんし、彼女も成功したとは思っていないと思いますが、これらの情報だけを見ると、このような生き方に共感する若者が増えるのは理解できます。

我々の世代の生き方、考え方を押しつけることはやってはいけないと思いますが、集団の中で生きていくための考え方だけは、きちんと伝える必要があるのではないかと感じています。

その結果、25歳以下の世代が選択した生き方があるのであれば、社会人であれば、それは自己責任になります。

多様化する人の価値観を見極めてマネジメントしていくということは本当に難しくなってきました。

しかし、「熱い心と冷たい頭」で考えるのが多様化された時代を生きるための知恵ではないかと思います。

先日のNHKのプロフェッショナル仕事の流儀にUNHCR(国連難民高等弁務官事務所) ウガンダ・リラ事務所長 高嶋由美子さんが出演されていましたが、その中で元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんからの言葉「熱い心と、冷たい頭をもて」という言葉が紹介されていました。難民救済というのは、難民が育ってきた環境や政治的な背景などもあり、救済と言っても非常に複雑な状況の中からの決断を求められる状況のようです。

日本も画一化した価値観ではなく、多様化した価値観を持つ人たちが幸せに過ごせるような社会を考えていく必要がありますので、次世代を担う人材育成というのは難しい課題ですが、難しいからチャレンジするということを社員の皆と考えていきたいと思っています。

自分はこういう人間なんだ

と勝手に決めるのではなく、いろいろな価値観を持った人たちと実際に話をして自分の価値観を社会の価値観と合わせてもらいたいということを若者には伝えていきたいと思います。


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Posted by 森戸裕一 at 06:36│Comments(1)人材育成
この記事へのコメント
■久米宏の「新ニッポン人」現る-世代でひとくくりにする愚かさを象徴する低レベル報道
こんにちは。あの番組20代は、かわいそうな若者とでも、いいたいのでしょうが、無理がありますね。それに、世代で輪切りにして、ひとくくりにして論じるという懐古趣味とでもいえるような手法を用いています。世代で輪切りにするのは、経済が発展途上の国ではある程度成り立ちますが、今や中国でさえ無理です。
この番組のディレクターも、視聴率の向上にしか興味がないのだと思います。昨年10月に「アッコにおまかせ」の『初音ミク』騒動がありましたが、マスメディアは未だにこの騒動の意味がわかっていないようです。愚かです。そうして、声無き声の若者たちは、このような低レベル報道は気にせず、自分の信じる道を歩んでもらいたいと思います。日本の若者ガンバレ!とエールを送りたいです。ここに、書くと長くなってしまうので、詳細は私のブログを是非ご覧ください。
Posted by yutakarlson at 2008年06月09日 13:29
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