2008年11月10日

情報化・知識化時代の人材育成

来週、企業の人事労務関連の講演として、

「即戦力を生み出す次世代の人材採用、人材育成術~育成採用という考え方と組織IQを高める情報活用~ 」

という内容の人材育成に関する話をオービックビジネスコンサルタント様の「奉行フォーラム2008」でします。

情報化・知識化時代の人材育成

奉行フォーラム2008 in 福岡



情報化・知識化時代と言われている現代、人材の育成方法も大きく変化しています。

1つ目に、個人の成長を考えた場合に「枠」を作ってあげないと思考が発散するということと創造性が発揮できないということです。人間の情報処理能力は限られていますので、その情報処理能力を超える情報がインプットされた場合には当然のように効率性は大きくダウンします。また、創造性を発揮させるためには情報をある程度絞り込んで足りないくらいの状態で考えさせて足りない部分を想像で補完するくらいの状態にしないと創造力は発揮できません。

2つ目に、時代の変化のスピードが速いのと後継者などの次世代を担う人材が少子化などの影響で不足していることから人材育成のスピードについても速くしていく必要が出ています。製造業や建築・建設業、農業や漁業、その他、職人の人たちの領域であった伝統工芸などの世界でも一人前の人材を育成するスピードが遅いがために業界全体が沈滞化している部分があります。一人前の職人や技術者を育成するのには時間がかかりますが、その時間を短縮する努力をしないと根本的な問題は解決しません。

3つ目に、事業領域が細分化、専門化されてきたことにより視野が狭くなってきているということと、小さな会社などでもセクショナリズムが発生しやすくなっているということです。自分の担当業務以外については興味がわかない、もともと興味を持つ必要すらないと思っている人も増えています。以前はジョブローテーションなどで補完していたのですが、人材育成のスピードアップと専門化(プロフェッショナル化)の流れの中で視野が狭くなってきた人が増えてきたように感じています。1つ目の問題とは相反する問題ですが、職業習熟度が上がってくるタイミングで視野は広げる必要が出てきていると思っています。視野については広げないと新しい価値を創造するということはできません。


これらの問題点をどのようにして解消するかというと、


1つ目に関しては、情報を共有して加工して仕事の習熟度ごとに社員の見える領域を変えてあげるということを考える必要があります。インターネットなどで簡単に情報が収集できるようになった分だけ今の時代の人たちは情報感度は下がっていると言えます。ここでいう情報感度というのは情報収集の軸になる情報アンテナと行動の動機になる知的好奇心のようなものです。人間の成長の礎になるアンテナ(感覚)とモチベーション(動機)の感度が情報の氾濫により下がっているという状態をちょっとした飢餓状態(情報を欲する)にしてあげる必要があるのではないかと考えています。職業習熟度に合わせた情報伝達量の調整、見せ方の工夫というのはこれから重要になってくる情報共有の考え方ではないかと思っています。

2つ目に関しては、仕事を通じて得ることができる知識・知恵を世代間で伝承していく仕組みを作る必要があります。これについては富士通の農業技術伝承への取組み(http://www.ednjapan.com/content/l_news/2008/10/u0o686000000u38l.html)がイメージを持つためのヒントになると思いますが、経験を除いた知識・知恵の部分に関しては音声、文章、図、写真、映像などを駆使することで何とか伝承することができるような時代になっています。特に映像コンテンツをネットワークで共有できるようになったことは職業技術の伝承には大きな変革を与えていると言えるのではないかと思います。経験というのは時間ではなく場数だとすれば、知識・知恵の習得の時間を短縮化して多くの場(プロジェクト)を経験させることで職人(プロフェッショナル)の育成スピードを上げることは可能と思っています。情報共有手段が対話でしかなかった時代と遠隔地でもコミュニケーションが可能な現代では本人のやる気次第で成長のスピードは大きく変わってきます。一人前の人材を育成するためには時間がかかるということが固定概念化されなかったら工夫はいくらでもできます。

3つ目に関しては、従来は領域が違うと考えられていたビジネス領域や職務領域の違う中での情報を交換を行うことで新しい発想を生ませる必要があります。自分たちの業界、職務領域では当たり前のことも他の業界や職務では新しい視点と言われることも多々あります。それらの視点を創造していくために情報を業界、職務横断的にリンクしていく、統合していくという必要性があります。事前に「なぜそのような情報交換、情報共有、情報編集」を行うのかという意味を理解してもらうことで他業界、他部署の仕事への興味を持たせることができ、新しい視点で自分の仕事を見ることが可能になります。新規ビジネスの企画や新しい付加価値創造というのは立ち位置を変える、視点を変えるということでいくらでも可能になります。

オービックビジネスコンサルタント様に関しては、会計、人事給与、販売管理、統合システムなどの業務パッケージソフトウェアを開発されていますが、その業務システムで管理されているデータ、そのデータを加工することで生み出される情報、情報から創造される知識・知恵というのを用いて「将来像をイメージする」ということを今回のフォーラムではテーマとされています。

私も前職から情報活用(情報収集、情報加工、情報編集、情報共有、情報共感など)、ナレッジ(知識・知恵)のマネジメントなどの支援を行っています。その最終的な目的は何か?ということを考えた場合には企業の場合には人材育成にいきつくのではないかと考えています。

ただ、その社内外に溢れた情報をどのように戦略的に活用するか、その情報の価値を人材の価値に変換するかなどを今回の講演では話をしたいと思っています。

ご参加をご希望される方は、以下のWebサイトより申し込みをされてください。
残席はまだ少しはあるようです。

奉行フォーラム2008 in 福岡

マスコミなどからも注目されている、学生団体主催のイベント「BizPASSウィーク」が、なぜ成功したのかなどもお話したいと思っています。


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Posted by 森戸裕一 at 02:40│Comments(0)人材育成
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