2009年07月19日

社会にインパクトを与える仕事ができる会社の人材育成の考え方

社員が考えて仕事をするようになるために会社というのはいろいろな制限事項や仕組みを持っています。

例えば、経費削減です。

出勤や出張は公的機関を使いなさい
しかし、お客さまとのアポイントには遅れてはいけません。

コピーは必要なもの以外はモノクロで裏紙を使いなさい
しかし、裏紙などからの機密情報流出へは最大限注意してください。

不必要な電灯、空調などはこまめに消すようにしてください。
しかし、仕事の効率を落とすようなことはないようにしてください。

電話などは3分以内で終わるように心掛けるようにしてください。
しかし、営業電話や顧客フォローの架電の数は減らさないようにしてください。

など、会社では利益を出すために経費削減を徹底します。

しかし、考えないで仕事をしている社員は、このように言います。

「何もそこまでしなくても」「このようなことを言われるとモチベーションが下がる」

たしかに、大きな会社でない限り、このような経費削減策を実施しても金額的なメリットは小さいように感じます。しかし、利益が出ている中小・中堅企業ではこのような経費削減についてシビアに社員に対して求めます。

その裏側には「考えて仕事をする」ということを社員に求めている経営姿勢があるように感じます。

出張などでどのような交通機関を使うのかどれくらいの価格のチケットを求めるかはある程度のセンスが必要になります。JRなどでは往復割引などの割引運賃チケットの利用や経路選定などでセンスが見られます。航空券などの購入などでも決まっている日程での出張であれば1ケ月前の購入、10日前の購入、7日前の購入、前日までの購入などで運賃が異なりますし、Webを利用しての購入かどうかでも運賃が変わる場合もあります。宿泊が伴う出張であえばホテルとのセット購入で全体的な金額は随分とおさえることができます。またマイレージの利用なども個人できちんと管理しているのであればコストへの意識はあると言えるのではないかと感じます。

コピー機などを利用してドキュメントの出力をする場合でもどのような用途に利用するのかということを考えて印刷をしていると、それがカラーであるべきなのか、モノクロでいいのかなどのことを考えながら印刷します。その判断をするときにドキュメントの利用イメージを自分の頭の中で考えています。これが重要なことではないかと思います。

不要な電灯を消す、空調を消すというのも会社全体の仕事の流れを常に見てないと不要か必要かということは判断できません。次にどのような会議が入っているのか、どのようなお客さまが訪問されるのかなどをきちんと理解していれば判断もできます。

電話にしても最近ではIP電話などの導入も進んでいますし長距離電話料金も安くなっていますが、要件をまとめて簡潔に話すということは相手にとってもストレスを感じさせません。しかしそのような話をできるようになるためには自分の頭が論理的になる必要があります。人に話をするときに要点をまとめる訓練をするためには時間を制限するしかありません。その結果、自分の時間も効率的に使うことができます。

これらの背景があり、会社は社員に経費削減を求め、考えながら仕事をする訓練をさせています。


同じように会議での合意形成、会社での承認プロセスなども「考える社員」を育てるための仕組みと言えることができます。

会議で個々の社員の意見を引き出し、その個々の意見をもとに合意形成をおこなうというのは簡単なことではありません。会議に参加している社員皆の協力が無いと会議の時間内に合意形成というゴールを達成することはできません。自分の意見を述べて、その意見よりもさらに良い意見を引き出す、最終的には会議の参加者全員の力で最高の企画、解決策を導き出すのが会議になります。そのプロセスの中で社員は育っていきます。

しかし、そこで導き出された結論も承認プロセスのラインにいる上長が会議に参加していない場合には承認をとる必要があります。会議に承認プロセス上位の上長を参加させるかさせないかということを考えるのは非常に重要なことでプロジェクト会議という性質の会議での決定事項はどのように扱われるのかということを会議の主催者は常に考えて参加者にも事前に伝えておく必要があります。権限委譲がどのように行われているのかということを確認しておかないと認識の違いで使った労力が無駄になることもあります。

一見、非常に面倒に見えるかもしれませんが、これらのことを考えながら仕事をするということを習慣づけることで、お客さまとのコミュニケーション(報告、連絡など)も適切にできるようになりますし、お客さまにYESと言わせる交渉もできるようになります。自分たちのコミュニケーション能力の低さやお客さまのニーズなどの仮説設定から検証プロセスまでにお客さまにストレスを感じないタイミング、内容での対応ができるようになります。

会社で上長にストレスを感じさせるようなタイミング、内容でしか報告・連絡・相談ができないということであれば、上長よりも厳しいお客さまから良い条件を引き出すことはできないのと、最終的に利益を出すことはできません。たぶん、お客さまの言いなりになって利益を最小限にするか赤字にします。また、最悪は納品できないということになり会社に多大な損害を与えてしまいます。

だから、会社の中のレポートラインで練習をするということも言えます。

上長は部下に給料を払っているわけではありませんので直接の利害関係者ではありませんが、会社は疑似的に利害関係者として上長をポジショニングして部下に報告・連絡・相談の練習をさせているということも言えるのではないでしょうか。これがOJTでもあります。

レポートラインの必要性を理解できない、承認プロセスというものを理解できない社員に、お客さま対応をさせるとほとんどの場合にはお客さまを不快にさせるか、お客さまの言いなりで自社に損害を与えるか、お客さまのコミュニケーションレベルを責めはじめます。このようなことではビジネスになりません。

会社の中できちんと訓練をして社外には出さないとコストに見合う仕事はしてくれないということになります。特に最近ではお客さまの要求も複雑化していますので個々の社員には柔軟な対応を求められます。また、スピードも求められますので最前線の社員が的確な判断ができるように訓練していかないといけません。

今までのビジネス環境であれば通用したものが通用しなくなった時代に、社員の再教育という面でOJTの考え方を再考する必要があるように感じます。

当社でも、社員にはお客さまへの対応を最高のものにするために社内での言動には注意を払っています。お互いが遠慮してレベルの低い行動への指摘をしなくなってしまうとそのレベルの会社になってしまいます。人の仕事へ口を出すというのは簡単ではありません。自分が指摘すると逆に相手は自分にそのレベルを求めてきます。だから、リーダー(上長)というのは人の仕事に口を出せる自信がある人にしか務まりません。

このようなリーダーに覚悟を決めさせる研修なども最近ではたくさん引き受けています。






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Posted by 森戸裕一 at 07:24│Comments(0)ビジネススキル
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