2007年10月07日

体感年収

最近、学生向けの講演をする際に『体感年収』の話をすることがあります。

本来、年収というのは「年間の金銭的な所得」で税金の計算の際に必要となる係数のことだと思います。

ただ、実際に働く側から考えると金銭的な所得だけが資産ではないと私は考えています。

仕事を通じて、自分の経験や知識として蓄積される資産もあります。また、生活環境や職場環境なども快適さを考えると資産計上してもよいのではないかと思っています。

福岡に住む学生が、自分が社会人となって資産形成する場として東京の大手企業を選ぶケースが増えています。

選択基準としては、

○安定性
○知名度
○給与水準
○仕事の内容

などになるのではないかと思います。

ただ、

安定性はあるかもしれませんが、その安定した企業の基盤を形成している仕組みに個人として適応できるかどうかをもう少し考えてください。

知名度があるかもしれませんが、その知名度をなぜ欲しいのでしょうか?単に周囲に自分を大きく見せるためだけではないでしょうか?

給与水準は高いかもしれませんが、それは東京の物価が高いからではないでしょうか?

仕事の内容は魅力的かもしれませんが、それを本当にやれる実力を身につける覚悟はできているのでしょうか?

などのことを深く考えてもらいます。

彼らの可能性を潰す気はありません。ただ、可能性を見出すためにはそれなりの覚悟が必要で、可能性を伸ばすためには環境の選択は重要な要素になります。


自分がもらえるかもしれない金銭的な年収に、体感する年収をプラス、マイナスする必要があると思っています。

体感年収

○どこに住んで働くのか?
・地元が遠い場合には帰省費用などは年収をマイナスすべき
・親などが近くに住んでいる場合にはサポート受けれることで年収をプラスすべき
・学生時代からの友人などとの付き合いが仕事にプラスに働くのであれば年収をプラスすべき

○誰と働くのか?
・仕事を選ぶ際に上司や仲間を選ぶことがある程度できるのであれば年収をプラスすべき
・会社の考え方に共感できそこで働くことで自分に大きな影響が出るのであれば年収にプラスすべき
・嫌な上司などの下で我慢して働く必要があるのであれば年収をマイナスすべき

○誰に価値提供するのか?
・価値提供するお客様とのお付き合いに喜びを感じることができない場合には年収をマイナスすべき
・お客様からクレームばかりを受ける商品やサービスを提供している場合は年収をマイナスすべき

好きなことを仕事にするということも言われますが、嫌いなことを仕事にする必要はないのではと私は思っています。仕事というのは仕事の内容だけではなく、仕事を行う環境なども人生に大きな影響を及ぼします。

嫌いなことを我慢するのではなく、嫌いではない環境の中で仕事を好きになるということが、人生を楽しむためには重要ではないかと思っています。

日本のサラリーマンの6割以上は「仕事はつらいもの」と考えているそうです。

仕事がつらいものであれば、たしかに、仕事と遊びの切り分けが大事になると思います。

この言葉の裏には、遊びは楽しいものという意味もあるようです。

ただ、仕事を楽しく感じることができないと人生の楽しみの大半を失うということを若い人たちには伝えたいと思っています。

仕事がつまらないと感じてる人は、作業をやっているのでしょう。
仕事がつらいと感じている人は、環境の選択を間違ったかもしれません。

作業は、言われたことだけをやることなので、たしかに面白くないと思います。一見、楽(らく)そうに感じますが楽しくないというおまけもつきます。

仕事には目的がありますので、その目的を理解しようとしないと仕事はできませんし、それを理解せずに惰性で行う行動は作業になります。それではつまらない時間になります。

資料の準備などを頼まれた場合も、その書類がどのような用途で使われるのか?ということに興味を持てば、お客さまに出す資料であれば丁寧に準備するのではないかと思います。コピーなどの印字が薄い部分や汚れがあれば修正するなどの気遣いができるようになります。ここまで考えて行動できて仕事になり、そこまでやれば褒められます。

そんなことも話しながら、どれだけ充実した人生にどこで誰とするか?

ということを、体感年収という言葉と共に説明しています。

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Posted by 森戸裕一 at 10:52│Comments(0)人材採用
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