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2008年11月01日

内定取り消しまで出てきた経営環境の悪化

昨日のワークプレイスラーニング2008は、私にとっても非常に得るものが多かったイベントでした。

イベント自体も趣向が凝らしてあって、講演やパネルディスカッションという一般的な構成だけでなく、700名の参加がありながらも携帯電話でのパネラーに対しての質問受付け、それに対しての即座なフィードバック、その後の近くの席の方々とのペア・ディスカッションなど、会場の中で既に知識交換が行われているという場でした。(教育関連の方々が参加しているにも関わらず、ペア・ディスカッションになった途端に席を外される方がいらっしゃいましたが、周囲と話をするのはそんなに嫌なのでしょうか?)

まあ、何よりも非常にお堅いイメージのある東京大学の安田講堂で、このようなITなどのツールを使った双方向性を確保したイベントを開催したということ自体が非常にユニークと感じました。

2008年のテーマは、

企業教育の新たな役割をさぐる

ということで、企業教育というものが高度経済成長期から重視され、時代は変化している中で旧態然としていることもあり、企業研修の担当者は、誰に対して、何を提供して、どのような成果を求めているのかなどの根本的なことから問題提起されました。

もし、企業教育が大きく形を変えるとすれば、それは誰の手によって変えられ、そして、その誰はどのような手段で大きな成果を出し始めるのかなどの考察も、組織心理学的な見地から、社会学的な見地から、教育学の見地から行われることで整理してもらって非常にスムーズに頭に入ってきました。

そもそも企業内に人材開発部門って必要なのか?

という問いかけや、

人材育成担当者は、どの範囲までの学習に対してコミットすべきか?

などの論点提起も非常に分かりやすかったです。


企業内に人材開発部門っていうのが、必要かどうか?という議論になると、それは必要という結論になるが、そのポジションは重要なポジションか?という議論になると、必ずしも現場からは重要なポジションとは言われないかもしれない。

人材開発部門は、単純に昔から必要と言われているスキル、研修会社が提案してくるメニュー、公開講座の内容から実施計画をつくるのではなく、現場の顕在ニーズは当たり前として、人材が育成されるために必要と思われる潜在的なニーズまで探るという意識が必要であり、物売り営業的な社内アプローチではなく、ソリューション営業的な社内アプローチが必要になるという部分も、営業研修などを行っている私にとっては非常におもしろい切り口でした。

その人事や教育担当の方々がこれから意識しないといけないインターナルマーケティング(社内に対して(内部ニーズ)のマーケティング)などについても興味深い話を聞かせていただきました。

企業研修の企画やロジスティック担当というスタッフ的な動きから、現場を知り、現場と連携して、現場の社員の成長を支援するという内部コンサルタント的な動きをこれからの人材育成担当者には求められるということになります。


日本の多くの企業での人材の評価とは、

大きな変革を目指して、従来の仕組み、企業風土を否定して新しい風を組織に取り入れようと必死に孤軍奮闘すると、その人は「カワリモノ」と呼ばれる。

大きな変革を目指して、従来の仕組み、企業風土を否定して新しい風を組織に取り入れようと必死に孤軍奮闘するが、結局、この組織では無理だといって組織を去る人は「ウラギリモノ」と呼ばれる。

大きな変革を目指して、従来の仕組み、企業風土を否定して新しい風を組織に取り入れようと必死に孤軍奮闘するが、結局、この組織では無理だといって、組織に馴染んでしまう人はなんと呼ばれるか?

というような話もありました。

最後の人は「成長した」と評価されるようです。


馴染むというのは評価されることではないですが、人は組織に対して馴染んでしまいます。

昨日のカンファレンスでは、

官僚になった学生は官僚の組織風土に馴染んでしまって官僚的な思考になる、大学に入学した高校生はしばらくすると大学に馴染んで大学生らしい風貌になる、不良になった人は周囲からみても不良だと思ってもらえるような格好をする、このように人間は組織に馴染むという特性を持っているので、馴染ませる場をどのように創るかというのが非常に重要であるといった話もありました。

会社という共同体で仕事をする中で、場をどのように創っていくかという中に、企業理念などを教育の場にいれることも積極的に行われていて、今回の事例では花王さんの「花王ウェイ」などの考え方、KDDIさんの社長との幹部ミーティングに一般社員がオブザーバーで参加などは会社としての考え方を現場に落とす仕組みとしては非常に興味深いものでした。

最近のニュースなどでは、
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200810280080.html

金融不況などで企業の業績が大幅に悪くなっていて、来年春の新卒採用の学生の内定を取り消すという動きが出ているということも報道されていました。それに対してマスコミは、企業としてのモラルが問われるのではないかというコメントが多かったように感じます。ただ、正直、今の世代の若者を育てるのには大きな時間(社会人としてというよりも人としての部分を教えないといえないようにも感じています)が必要となります。昔の新人教育とはちょっと違った観点から教育をしないと配属された現場が大混乱になるということも考えられます。実際にそのような教育や現場に育てるという概念が醸成されていない場合には、今回のような大きな経済環境の変化がきた場合には持ちこたえられないという判断をすることも理解できます。

ただ、企業は自分たちがみそめて採用を決めた人材は責任をもって育てて欲しいと思っています。

企業内教育の形も時代の変化や人材の変化によって大きく変化してきているというのを感じたイベントでした。  


Posted by 森戸裕一 at 12:30Comments(0)人材採用